2年かけて東近江の将来像を話し合った
ーーー財団誕生前に円卓会議をされたそうですね。
2010年に「ひがしおうみ環境円卓会議 2030年東近江市の将来像2010年版」という成果物を、私が行政職員時代に手伝ったことがひとつ背景にあります。
財団設立時の関係者の多くがこれに関わったので、この将来像を実現するために、行政に頼るだけではないお金の仕組みが必要だね、という思いがありました。
例えば「お金も稼ぎたい、地域でボランティア活動もしたい、家族と過ごす時間も増やしたい、というのは成立しません」と伝えるために、24時間をどう割り振って、稼ぎ、人と過ごす時間を増やすのかを専門家にモデル計算していただき、定量的にも違和感がないビジョンづくりを行いました。
将来像には、研究者と市民とでキャッチボールしながら持続可能な状態を真剣に望んだ何百という意見を集約しました。その結果を受けて、東近江三方よし基金は「 人と人、人と自然とつながる時間を増やす活動を応援します」という説明をよくしています。
ーーーどういう経緯で財団が立ち上がるのでしょうか?
地域のソーシャルビジネスに取り組んでいる人たちはお金に困っているのに支援がないことから、資金循環の研究会を平成22年に開催しました。その時に初めて深尾昌峰さんが東近江にゲストで来てくれて、京都地域創造基金の話をしてくれたんですよ。
その後、たまたま私が市民協働担当課に移り、深尾さんが委員長をしている委員会を担当したりして、先に紹介した報告書の話をしたら、「もう一度議論をしませんか」と言ってくれて、半年ぐらいコミュニティファンドの検討会をやっていたんです。
その検討会で「こういう財団をつくりたい」というものが固まり、次の年には設立準備会をつくって、寄付集めをして、東近江三方よし基金が誕生しました。
インタビュー/宝楽陸寛
公益財団法人東近江三方よし基金
東近江市民をはじめとする多くの方々の思いに支えられ、2017年に一般財団法人として設立、2018年より公益財団法人として活動中。
https://3poyoshi.com/
山口美知子(やまぐちみちこ)
公益財団法人東近江三方よし基金
公益財団法人東近江三方よし基金 常務理事兼事務局長。滋賀県生まれ。東京農工大学大学院修了。1998年に林業技師として滋賀県入庁。林業事務所、琵琶湖環境政策室などを経て、2012年東近江市職員となる。2019年から創設に関わった公益財団法人の常務理事に就任。2021年3月に市役所を退職。一般社団法人kikito、NPO法人まちづくりネット東近江等の活動に参加。