加賀市には当時、15歳から18歳を支援する団体がありませんでした。有識者を招いたところ、「どうやら女の子たちが大変そうだ」と気づいて、本当に大変だったかどうかを、今、15歳から18歳の方たちと、かつて15歳か18歳を加賀市で過ごした方たちにヒアリング調査をして、インタビューして回りました。
最初は「15〜25歳の時に困ったことは別にないかなあ」と言われたことが印象に残っています。じっくりと、遠回りしながらも、時間をかけて会話を進めていくと、ふとした瞬間、堰を切ったように当時の経験をつぶさに語ってくれて。
例えば『痴漢被害にあったとき、「気をつけてね」という周囲の言葉が辛かった。女性だけに言うのではなく性別関係なく「性暴力はダメ」と指導してほしかった。(加賀市出身・30代女性)』という声や、『高校生の時に付き合っていた彼氏からデートDV(蹴る殴る)をうけていました。すぐに別れることはせず、自分が我慢すればよいと思っていました。(加賀市出身・30代女性)』という声もあり、その一つ一つのストーリーを聞いている私たちの心も、きゅうっと締め付けられる思いになりました。
「今の今まで、問題だとすら思っていなかったけど、もっと助けを求められたら、問題を問題だと言ってくれる大人がいたら、違ったのかな。」
合計25名、約50時間にのぼるヒアリングを終え、私たちは”声なき声”の存在を目の当たりにして愕然としました。今もなおこの加賀市で、ひとり悩んでいる女性がいるのかもしれない。知ってしまったからには、見て見ぬふりはできない。
そこで、石川県加賀市の若年女性のための基金、KAGA JOJOJO FUND(略称:かがじょ基金)を立ち上げました。
まずはこの地で育つ彼らがどうか健康で孤立せず尊重されて過ごしてほしい。そんな気持ちが込められています。
小杉真澄(こすぎますみ)
公益財団法人 あくるめ
新潟県出身。大学卒業後、新卒で教育系NPO法人に就職。 中退した高校生の居場所づくりなどのプロジェクト立ち上げを経験。そこで出会った若者にとって、より生きやすいフィールドを探し求め2019年3月より活動拠点を東京から石川県加賀市へ移す。2020年よりあくるめ財団に参画。