ーーー財団設立に当たって、地域のどんな課題が背景としてありましたか?
まず、香川県の課題として、大学収容力指数からも、進学のタイミングで県外へと出て行ってしまう若者が多い状況があるので、香川県で育った若者たちが「地元が好き」「いつか戻ってきたい」という気持ちを胸に進路選択に臨む姿が増える未来をめざしています。
そのために必要なきっかけとして、地域での体験や学びを通じた小さな成功体験の積み重ねとか、安心して自分の未来を肯定的に話せる居場所など、いろいろ考えられます。
各団体が持つ専門性を活かし、子ども若者が地域との関わりの中で地元への愛着や誇りを持ち、いつか主体的に地域と関わりを持ちたいと思えるきっかけとなるような、草の根活動を支援したいです。
若者を応援する視点を深めたいという気持ちを念頭に置きつつ、高校生や大人たちを交えて円卓会議を3回ほど開催しました。
ーーー円卓会議の形式にした理由は何ですか?
人を集めるイベントをするときには、一方通行にならないことと、お客さんをつくらないことを私たちは大事にしています。円卓会議は見たこともなかったのですが、面白そうだからやってみました。
設定したテーマや課題がみんなと共有できたかと言えば半々です。私のファシリテートの力量不足で、すぐに脱線してしまうのもありますが(笑)、よくいえば、参加している人の想像力につながったのではないかとも思います。
寄付キャンペーンでは、最初は「次世代を支える仕組みをつくりましょう」と取り組んでいましたが、途中から「そもそも地域の課題を継続的に解決する仕組みを誰かに任せっぱなしではダメ」という切り口も挟みました。ただ、課題を全面に出すだけでは苦しいと思うので。
インタビュー/石本貴之
一般財団法人 たかまつ讃岐てらす財団
https://sanuki-tellus.jp/
たかまつ讃岐てらす財団、通称「てらす財団」は、どこかの「誰か」ではなく、市民が「みんな」でお金を出し合ってつくったコミュニティ財団です。
大美光代(おおみてるよ)
一般財団法人 たかまつ讃岐てらす財団
一般財団法人 たかまつ讃岐てらす財団代表理事。数年前まで地域の地の字も興味がなかったが、地域課題というモンスターに立ち向かう人々に出会い、「この人たちとずっと関わっていたい」と思い始める。得意なことは「お役に立つ、ニーズに応える」こと。苦手なことは自分のことを話すこと。2022年3月、香川大学大学院地域マネジメント研究科(MBA)修了。